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ファクタリングの仕訳・勘定科目は?手数料・消費税と2社間・3社間の会計処理を解説

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ファクタリングの仕訳では、原則として「借入金」ではなく、売掛金などの金銭債権を譲渡した取引として処理することが重要です。一般的なファクタリングとは、事業者が保有する売掛債権などを期日前にファクタリング会社へ譲渡し、資金化する取引です。

金融庁は、一般的なファクタリングについて、事業者が保有する売掛債権等を期日前に一定の手数料を徴収して買い取るサービスであり、法的には債権の売買(債権譲渡)契約であると説明しています。

出典:金融庁「ファクタリングの利用に関する注意喚起」

また、企業会計基準第10号「金融商品に関する会計基準」では、売掛金を金融資産に含めています。金融資産の契約上の権利に対する支配が他に移転し、消滅の認識要件を満たす場合は、その金融資産の消滅を認識し、帳簿価額と受取対価との差額を当期の損益として処理します。

出典:企業会計基準委員会「企業会計基準第10号 金融商品に関する会計基準」

結論

一般的な買取型ファクタリングで、金融資産の消滅要件を満たす場合は、売却した売掛金を帳簿から除き、受取対価との差額を当期の損益として処理します。ただし、買戻義務などがある契約では処理が異なる可能性があるため、契約の実質を確認する必要があります。

本記事では、売掛債権を買い取る「買取型ファクタリング」の利用者側の仕訳を中心に解説します。保証型ファクタリングや、請求前の債権を扱う注文書ファクタリングは取引内容が異なるため、本記事の仕訳をそのまま適用できるとは限りません。

会計・税務上の注意

実際の仕訳や税区分は、契約条件、適用する会計基準、自社の会計方針などによって異なる場合があります。個別の契約に対する最終判断が必要な場合は、契約書を確認したうえで税理士・公認会計士などの専門家へ確認してください。

ファクタリングの仕訳は「売掛金の譲渡」として考える

ファクタリングの仕訳を理解するうえで、最初に確認したいのが取引の性質です。金融庁が説明している一般的なファクタリングは、融資ではなく売掛債権の売買です。

そのため、債権譲渡が会計上も金融資産の消滅要件を満たす場合、通常の借入れのように「借入金」を計上するのではなく、保有していた売掛金を帳簿から取り除きます。

企業会計基準第10号では、金融資産の契約上の権利に対する支配が他に移転するには、次の要件をすべて満たすこととされています。

要件内容
法的保全譲受人の契約上の権利が、譲渡人およびその債権者から法的に保全されている
権利の享受譲受人が譲渡された金融資産の契約上の権利を、直接または間接に通常の方法で享受できる
買戻し譲渡人が、譲渡した金融資産を満期前に買い戻す権利・義務を実質的に有していない

これらを満たし、金融資産の消滅を認識する場合、金融資産の帳簿価額とその対価としての受払額との差額を当期の損益として処理します。

つまり、「ファクタリングという名称の契約だから必ず売掛金を消す」のではありません。契約の実質と、金融資産の支配が移転しているかを確認する必要があります。

出典:企業会計基準委員会「企業会計基準第10号 金融商品に関する会計基準」 金融庁「ファクタリングの利用に関する注意喚起」

ファクタリングの仕訳で使う主な勘定科目

買取型ファクタリングで主に関係する勘定科目は次のとおりです。

勘定科目主な用途
売掛金ファクタリング会社へ譲渡する売掛債権
普通預金ファクタリング会社から受け取った資金
未収入金債権譲渡後、譲渡対価がまだ入金されていない場合の処理に用いることがある
売上債権売却損など売掛金の帳簿価額と譲渡対価との差額を損失として表示する際に用いる実務上の科目例
預り金・未払金など2社間ファクタリングで、売掛先から受け取った金銭をファクタリング会社へ送金するまでの一時的な負債処理に用いることがある

注意したいのは、「売上債権売却損」という勘定科目名そのものが企業会計基準で指定されているわけではない点です。企業会計基準第10号が定めているのは、金融資産の帳簿価額とその対価としての受払額との差額を当期の損益として処理することです。

実務上は「売上債権売却損」などの科目が使われますが、自社の勘定科目体系や会計方針によって表示科目は異なる場合があります。重要なのは、科目名だけでなく、取引の実質に沿って継続的に処理することです。

出典:企業会計基準委員会「企業会計基準第10号 金融商品に関する会計基準」

ファクタリングの基本的な仕訳

買取型ファクタリングでは、売掛金の帳簿価額を「A」、ファクタリング会社から受け取る譲渡対価を「B」、両者の差額を「C」とすると、A=B+Cの関係になります。

債権譲渡と入金が同じタイミングの場合

金融資産の消滅を認識する時点とファクタリング会社からの入金が同じタイミングである場合、仕訳の基本形は次のとおりです。

借方貸方
普通預金 B売掛金 A
売上債権売却損など C 

売掛金を帳簿から除き、実際に受け取った金額を普通預金、帳簿価額との差額を損失として処理します。

債権譲渡から入金まで期間がある場合

金融資産の消滅を認識した時点と、ファクタリング会社から実際に資金が振り込まれる日が異なる場合は、未収入金などを用いて入金までの債権を管理する処理が考えられます。

債権譲渡時の基本形は次のとおりです。

借方貸方
未収入金 B売掛金 A
売上債権売却損など C 

その後、ファクタリング会社から入金されたときは次のように処理します。

借方貸方
普通預金 B未収入金 B

損失を単純に「現金が入った日」に認識するのではなく、金融資産の消滅を認識する時点と整合させる必要があります。

出典:企業会計基準委員会「企業会計基準第10号 金融商品に関する会計基準」

2社間ファクタリングの仕訳

2社間ファクタリングは、基本的にファクタリング利用者とファクタリング会社の間で契約する方式です。金融資産の消滅要件を満たす場合、債権譲渡時の基本的な仕訳は、通常の買取型ファクタリングと同じ考え方です。

2社間ファクタリングで追加の処理が必要になりやすいのは、売掛先から利用者へ代金が入金され、その後に利用者からファクタリング会社へ送金する契約です。この場合、すでに譲渡した売掛債権の回収額を自社の新たな売上として再計上するのではなく、契約上ファクタリング会社へ引き渡すべき金銭として処理します。

売掛先から入金されたときの基本形は次のとおりです。

借方貸方
普通預金預り金・未払金など

ファクタリング会社へ送金したときは、対応する負債を消します。

借方貸方
預り金・未払金など普通預金

「預り金」「未払金」など、どの科目を用いるかについて一律の科目名が定められているわけではありません。契約上の義務と自社の会計方針に合わせて設定してください。

3社間ファクタリングの仕訳

3社間ファクタリングでは、利用者、ファクタリング会社、売掛先が取引に関与します。売掛債権の譲渡による基本的な会計処理は、金融資産の消滅要件を満たす限り、2社間ファクタリングと同じ考え方です。

違いは資金の回収経路です。契約に従い売掛先がファクタリング会社へ直接支払う場合、利用者が売掛代金を一度受け取ってファクタリング会社へ送金する処理は通常発生しません。

比較項目2社間3社間
債権譲渡時の基本処理金融資産の消滅要件を満たす場合、売掛金を消去金融資産の消滅要件を満たす場合、売掛金を消去
譲渡差額当期損益として処理当期損益として処理
売掛先からの支払い利用者が受け取る契約では、ファクタリング会社への送金まで負債として管理する処理が必要になり得る売掛先がファクタリング会社へ直接支払う場合、利用者側の入金・送金処理は通常不要

実際の資金の流れは契約内容によって異なるため、契約書に基づいて処理する必要があります。

ファクタリング手数料の勘定科目はどう処理する?

ファクタリングでは、売掛金の額面全額ではなく、一定額を差し引いた金額が譲渡対価として支払われることがあります。会計上重要なのは、その差額が金融資産の帳簿価額と受取対価との差額である点です。

企業会計基準第10号では、金融資産の消滅の認識要件を満たした場合、帳簿価額と対価としての受払額との差額を当期の損益として処理します。そのため、売掛債権の売却による損失であることを明確にする目的で、「売上債権売却損」などの科目を使用する実務があります。

一方、企業によって使用する科目体系は異なります。勘定科目名だけで取引の会計・税務上の性質が決まるわけではないため、契約内容と取引の実質に基づいて判断してください。

ファクタリング会社自体の比較や選定を行う場合は、ファクタリングおすすめ比較で手数料、入金条件、利用対象などを確認できます。

出典:企業会計基準委員会「企業会計基準第10号 金融商品に関する会計基準」

ファクタリングの手数料・債権譲渡に消費税はかかる?

金銭債権の譲渡は、消費税の非課税取引です。国税庁の「No.6201 非課税となる取引」では、有価証券等の譲渡に含まれるものとして金銭債権などの譲渡が非課税取引として示されています。

さらに国税庁の「金銭債権の買取り等に対する課税関係」では、金銭債権の譲受けに際して徴収する割引料、保証料または手数料について、契約上、金銭債権の譲受けであれば、その名目にかかわらず金銭債権の譲受対価として非課税になると示しています。

したがって、買取型ファクタリングにおいて、売掛債権の買取対価の一部として差し引かれる手数料については、名称だけを理由に課税取引として判断するのではなく、契約上の性質を確認する必要があります。

一方、債権買取とは別の役務が提供され、その対価が別途請求されている場合は、その役務の内容に応じて消費税区分を判定する必要があります。会計ソフト上の税区分名や設定方法は製品ごとに異なるため、一律には示せません。

出典:国税庁「No.6201 非課税となる取引」 国税庁「金銭債権の買取り等に対する課税関係」

決算をまたぐ場合は「入金日」だけで判断しない

ファクタリングを利用したものの、金融資産の消滅を認識する日とファクタリング会社からの入金日が異なり、その間に決算日を迎えることがあります。

この場合も、「現金がいつ入ったか」だけで会計処理を判断するのではありません。企業会計基準第10号では、金融資産の契約上の権利を行使したとき、権利を喪失したとき、または権利に対する支配が他に移転したときに金融資産の消滅を認識するとしています。

決算日前に金融資産の消滅要件を満たしており、譲渡対価が未入金である場合は、契約内容や自社の会計方針に応じて未収入金などで入金待ちの債権を管理する処理が考えられます。一方、契約を締結していても、決算日時点で消滅要件を満たしていなければ、単純に売掛金を消去できるとは限りません。

契約締結日、債権譲渡の効力が生じる日、実際の入金日を区別して確認することが重要です。

出典:企業会計基準委員会「企業会計基準第10号 金融商品に関する会計基準」

買戻義務・償還請求権がある契約は仕訳に注意する

ファクタリング契約に買戻義務や償還請求権がある場合は、通常の売掛債権売却と同じ仕訳をそのまま適用できるとは限りません。

企業会計基準第10号は、金融資産に対する支配が他へ移転する要件の一つとして、譲渡人が譲渡した金融資産を満期前に買い戻す権利・義務を実質的に有していないことを挙げています。

また金融庁は、ファクタリングとして行われる取引であっても、売主が債権を買い戻すことになっているなど、経済的に貸付けと同様の機能を有すると考えられる取引は、貸金業に該当するおそれがあると注意喚起しています。

したがって、買戻義務などを含む契約では「ファクタリングだから売掛金を消して売却損を計上する」と機械的に処理せず、契約の実質を確認する必要があります。

出典:企業会計基準委員会「企業会計基準第10号 金融商品に関する会計基準」 金融庁「ファクタリングの利用に関する注意喚起」

ファクタリングの仕訳で確認したいポイント

ファクタリングの経理処理では、取引名称だけで判断せず、契約の実質と資金の流れを確認する必要があります。

確認項目考え方
借入金か真正な債権売買で金融資産の消滅要件を満たす場合、借入金としてではなく金融資産の譲渡として処理する
売掛金をいつ消すか金融資産の消滅を認識する時点で判断する
差額の処理帳簿価額と譲渡対価との差額を当期損益として処理する
勘定科目名特定の名称が会計基準で一律に指定されているわけではない
2社間の回収金譲渡済み債権の回収金を新たな売上として再計上せず、契約に応じてファクタリング会社への債務として管理する
消費税金銭債権の譲渡および譲受対価としての手数料等について、国税庁の非課税取引の取扱いを確認する
買戻義務金融資産の消滅要件を満たすか、契約の実質を確認する

2026年改正の金融商品会計基準にも注意

企業会計基準委員会は2026年6月2日、改正企業会計基準第10号「金融商品に関する会計基準」等を公表しました。今回の改正は、特別目的会社を譲受人とする金融資産の譲渡に関する取扱いの見直しを含みます。

2026年改正会計基準は、原則として2027年4月1日以後開始する連結会計年度および事業年度の期首以後に実施される金融資産の譲渡から適用されます。また、2026年4月1日以後開始する連結会計年度および事業年度の期首以後に実施される金融資産の譲渡から早期適用できます。

自社がどの会計基準を適用しているか、改正基準を早期適用しているかによって確認すべき規定が変わる可能性があるため、決算時には最新の会計基準を確認してください。

出典:企業会計基準委員会「改正企業会計基準第10号『金融商品に関する会計基準』等の公表」 企業会計基準委員会「企業会計基準第10号 金融商品に関する会計基準」

ファクタリングの仕訳に関するよくある質問

ファクタリングは借入金として仕訳しますか?

一般的な買取型ファクタリングは、金融庁が説明するとおり法的には債権の売買です。会計上も金融資産の消滅要件を満たす場合は、借入金を計上するのではなく、売却した売掛金を消去し、譲渡対価との差額を当期損益として処理します。

ただし、買戻義務などがあり実質的に貸付けと同様の機能を持つ取引では、一般的な買取型ファクタリングと同じ処理が適切とは限りません。

ファクタリング手数料の勘定科目は何ですか?

売掛債権の帳簿価額と譲渡対価との差額を表示する科目として、実務上「売上債権売却損」などが用いられます。ただし、企業会計基準で「売上債権売却損」という科目名自体が一律に指定されているわけではありません。

ファクタリングの手数料に消費税はかかりますか?

国税庁は、金銭債権の譲渡を非課税取引として扱っています。また、金銭債権の譲受けに伴う割引料・保証料・手数料についても、契約上の金銭債権の譲受対価であれば、名称にかかわらず非課税になるとしています。

ただし、債権買取とは別個のサービス料金が含まれている場合は、その内容ごとに消費税区分を確認する必要があります。

2社間と3社間で仕訳は違いますか?

売掛債権を譲渡する基本的な仕訳の考え方は共通しています。違いが出るのは主に売掛金の回収経路です。2社間で利用者が売掛先から代金を受け取ってファクタリング会社へ送金する契約では、受取額をファクタリング会社への債務として管理する処理が必要になります。3社間で売掛先がファクタリング会社へ直接支払う場合、利用者側の入金・送金処理は通常発生しません。

個人事業主でもファクタリングの仕訳は必要ですか?

事業上の売掛債権をファクタリングで譲渡した場合は、その取引内容を帳簿へ反映する必要があります。個人事業主向けの利用条件やサービス選定については、個人事業主向けファクタリングおすすめで確認できます。

使用する勘定科目や記帳方法は、採用している記帳方法、会計ソフト、契約内容などで異なる場合があります。個別の税務処理が不明な場合は、税理士へ確認してください。

まとめ|ファクタリングは契約の実質を確認して仕訳する

買取型ファクタリングでは、金融資産の消滅要件を満たす売掛債権の譲渡であれば、借入金ではなく金融資産の譲渡として処理するのが基本です。売掛金を帳簿から除き、帳簿価額とファクタリング会社から受け取る譲渡対価との差額を当期の損益として処理します。

実務では「売上債権売却損」などの勘定科目が利用されますが、特定の勘定科目名が企業会計基準で一律に指定されているわけではありません。

また、金銭債権の譲渡は消費税の非課税取引です。国税庁は、金銭債権の買取りに伴う割引料・保証料・手数料についても、契約上の金銭債権の譲受対価であれば非課税になると示しています。

一方、買戻義務などがあり金融資産の消滅要件を満たさない可能性がある取引や、経済的に貸付けと同様の機能を有する取引では、一般的なファクタリングと同じ会計処理が適切とは限りません。

仕訳を行う際は、サービス名だけで判断せず、債権譲渡の効力、買戻義務の有無、資金の流れ、手数料の性質を契約書で確認することが重要です。

資金化までの速さを重視してサービスを比較する場合は、即日ファクタリングおすすめもあわせて確認できます。

参考資料

·         金融庁「ファクタリングの利用に関する注意喚起」

·         企業会計基準委員会「企業会計基準第10号 金融商品に関する会計基準」

·         企業会計基準委員会「改正企業会計基準第10号『金融商品に関する会計基準』等の公表」

·         国税庁「No.6201 非課税となる取引」

·         国税庁「金銭債権の買取り等に対する課税関係」

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この記事の著者

OREND FINANCE編集部

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