法人カードでも利用額に応じてポイントが貯まり、経費削減に活用できます。一方で、会社の経費で貯まったポイントを社長や従業員が個人利用する場合は、ポイントの帰属や税務上の扱いに注意が必要です。ポイントの主な使い道や効率的な貯め方、個人利用の考え方、会計処理までまとめて解説します。
- 法人カードで貯まったポイントの主な使い道と効率的な貯め方
- 法人カードのポイントは誰のものか、社長や従業員が個人利用できるか
- 法人カードのポイントを利用したときの会計処理と仕訳
法人カードのポイントとは?還元率の仕組み
法人カードには、利用金額に応じてポイントが貯まるカードがあります。貯まったポイントはカード利用代金への充当や商品・マイルへの交換などに使えるため、事業の支払いを法人カードにまとめることで経費削減につながります。ただし、すべての法人カードにポイント制度があるわけではありません。
ポイント還元率とは、カードの利用金額に対して何円相当のポイントが還元されるかを示す割合です。一般的な法人カードの基本還元率は0.5〜1.0%程度です。例えば、100円の利用につき1円相当のポイントが付与される場合、還元率は1.0%となります。
ポイント還元率(%)=獲得ポイントの円換算額 ÷ カード利用額 × 100
法人カードによって、ポイントの付与条件や交換時の価値は異なります。そのため、ポイント数だけではなく、実際に何円分として使えるのかを確認することが重要です。
| 確認項目 | 内容 |
| 基本還元率 | 通常のカード利用で還元される割合 |
| ポイント付与単位 | 100円、200円、1,000円など、何円の利用ごとにポイントが付くか |
| 1ポイントの価値 | 1ポイントを何円相当として利用・交換できるか |
| 還元率が変わる支払い | 税金や公共料金、特定の加盟店など、通常と付与条件が異なる支払い |
| ポイントの有効期限 | 貯めたポイントを利用できる期間 |
基本還元率が同じ法人カードでも、ポイントの交換先や利用する店舗、支払い内容によって実際の還元額は変わります。法人カードのポイントを活用する際は、基本還元率だけでなく、付与条件とポイントの交換価値まで確認してください。
法人カードで貯めたポイントの主な使い道
法人カードで貯めたポイントは、カード利用代金への充当や備品の購入、商品券・ギフトカード、マイルへの交換などに活用できます。カード会社によって交換先や交換レートが異なるため、ポイントを貯めるだけでなく、事業で使える交換先があるかも確認することが重要です。
| 主な使い道 | 内容 |
| カード利用代金への充当 | 貯まったポイントを法人カードの請求額に充当し、経費の支払いを減らす |
| 備品・消耗品の購入 | ポイントを使ってパソコン周辺機器や文房具など、事業で使用する商品を購入する |
| 商品券・ギフトカードへの交換 | ポイントを商品券やギフトカードなどへ交換し、事業上の支払いに活用する |
| マイルへの交換 | ポイントを航空会社のマイルへ交換し、出張時の航空券などに活用する |
法人カードのポイントは、会社の経費削減につながる使い方を優先するのが基本です。 特にカード利用代金への充当は、ポイントをそのまま事業経費へ還元できるため、用途が明確です。
商品券やマイルへ交換する場合は、交換先によって1ポイントあたりの価値が変わります。交換レートや有効期限を確認し、ポイントの価値を十分に活用できる方法を選びます。
なお、法人カードで貯まったポイントを社長や従業員が個人で使用する場合は、通常のポイント利用とは扱いが異なります。ポイントの帰属や個人利用については、後述する「法人カードのポイントは誰のもの?社長や従業員が個人利用してもよい?」で詳しく解説します。
法人カードのポイントを効率よく貯める方法
法人カードのポイントを効率よく貯めるには、日常的に発生する事業経費の支払いをカードに集約することが基本です。利用額が増えるほど獲得できるポイントも増えるため、現金払いや銀行振込から法人カードへ切り替えられる支払いがないか確認します。
- 経費の支払いを法人カードに集約する
備品や消耗品、広告費、通信費、出張費、接待費などの支払いを法人カードにまとめると、事業で発生する支出から継続的にポイントを獲得できます。 - 追加カードで従業員の経費もまとめる
従業員用の追加カードを発行すれば、交通費や出張費などの支払いも法人カードに集約できます。本カードと追加カードの利用分にポイントが付与されるカードなら、会社全体の支払いをポイント獲得につなげられます。
- ポイント優遇店やキャンペーンを活用する
特定の店舗やサービスで通常より多くのポイントが付与される法人カードがあります。利用頻度の高いサービスがポイント優遇の対象になっているか確認してください。期間限定のポイントアップキャンペーンも活用できます。 - 税金や公共料金のポイント付与条件を確認する
法人税や公共料金をカード払いにできても、通常のショッピングより還元率が低く設定されているカードがあります。税金にはカード決済の手数料が発生する場合もあるため、獲得ポイントだけで判断せず、手数料を含めた負担額を確認します。 - ポイントの有効期限を確認する
ポイントに有効期限がある場合、期限を過ぎると貯めたポイントを利用できません。利用代金への充当や商品への交換など、事業で利用する方法をあらかじめ決めておくと失効を防げます。
法人カードで多くのポイントを獲得するには、還元率だけを追うのではなく、普段の事業経費をどこまでカード払いに集約できるかが重要です。 ただし、支払い先によってポイント付与率や対象条件が異なるため、利用額の大きい経費ほど事前に条件を確認してください。
法人カードのポイントは誰のもの?社長や従業員が個人利用してもよい?
法人カードで貯まったポイントの帰属は、カードの契約形態によって異なります。法人契約のカードで貯まったポイントは法人側で管理するのが基本で、社長や従業員が自由に個人利用するものではありません。一方、法人代表者や個人事業主が個人で契約しているビジネスカードでは、契約者個人にポイントが付与されるカードもあります。
ポイントの利用ルールはカード会社や契約内容によって異なるため、まず契約形態とカード会社の規約を確認してください。
法人カードのポイントの帰属は契約形態によって異なる
法人カードという名称でも、契約者が法人なのか個人なのかによってポイントの扱いが異なります。
| 契約・利用形態 | ポイントの基本的な考え方 |
| 法人契約 | 法人側で管理し、事業に利用する |
| 法人代表者による個人契約 | 契約者個人にポイントが付与されるカードがある |
| 従業員用の追加カード | 法人側で管理し、従業員が自由に個人利用しない |
| 個人事業主による個人契約 | 契約者本人が利用できるカードがある |
特に注意したいのが、カード券面に代表者や従業員の個人名が記載されていても、ポイントがその個人のものになるとは限らない点です。カードの名義だけではなく、法人と個人のどちらが契約主体になっているかを確認する必要があります。
社長や従業員によるポイントの個人利用には注意が必要
法人契約のカードで会社の経費を支払って貯まったポイントは、原則として会社の事業に利用します。カード利用代金への充当や備品の購入、出張費への利用など、会社の経費削減につながる使い方であれば管理も明確です。
社長が会社で貯まったポイントを私物の購入や個人的な旅行などに使用する場合は、会社から社長へ経済的利益を与えたと判断される可能性があります。役員に対する経済的利益は、内容によって給与や役員給与として扱われる場合があるため、会社のポイントを私的に利用する運用は避けるのが基本です。
従業員についても同様で、会社が管理するポイントを本人の判断で利用することは認めない運用が必要です。会社が福利厚生や報奨として従業員へポイント相当の利益を与える場合も、給与として扱われる可能性があるため、税務上の処理を確認してください。
個人事業主が個人契約のカードで貯めたポイントについては、法人契約とは扱いが異なります。ただし、事業経費の支払いで貯めたポイントを事業上の支払いに使用した場合は、後述する会計処理が必要になります。
ポイントの利用ルールを社内規定で定めておく
従業員用の法人カードを発行している企業では、カードだけでなくポイントについても利用ルールを定めておくことが重要です。
社内規定では、ポイントの管理者、利用できる用途、利用時の承認方法、個人利用の禁止などを明確にしておきます。ポイントの使用履歴も残しておけば、誰が何のために利用したのかを確認できます。
特に複数の従業員へ追加カードを発行している場合は、ポイントを個人の判断で使用できない運用に統一してください。法人カードのポイントも会社の経費と同様に管理することで、経理処理や税務上の判断も明確になります。
法人カードのポイントの会計処理・仕訳
法人カードで貯まったポイントは、一般的にポイントを獲得した時点では仕訳を行わず、商品購入やカード利用代金への充当などでポイントを使ったときに会計処理を行います。
ポイントを商品やサービスの購入に使った場合は、ポイント分を購入代金の値引きとして処理する「値引処理」と、購入代金を全額計上したうえでポイント分を雑収入として計上する「両建処理」があります。レシートや請求書でポイントがどのように扱われているかを確認し、処理方法を統一してください。
法人カードのポイントを使ったときの仕訳例
主なポイントの使い方と会計処理は以下のとおりです。
| ポイントの使い方 | 基本的な会計処理 |
| 商品購入時にポイントを使う | 値引処理またはポイント分を雑収入として計上 |
| 商品代金の全額をポイントで支払う | 商品代金を経費として計上し、ポイント分を雑収入として処理 |
| カード利用代金に充当する(キャッシュバック) | ポイント充当分を雑収入として処理 |
| 商品券・ギフトカードなどへ交換する | 貯蔵品として計上し、ポイント相当額を雑収入として処理 |
| 他社ポイント・マイルへ交換する | 交換時点では原則仕訳せず、利用時に処理 |
例えば、10,000円の消耗品を購入し、1,000円分のポイントを使って残り9,000円を法人カードで支払った場合、値引処理では9,000円を消耗品費として計上します。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
| 消耗品費 | 9,000円 | 未払金 | 9,000円 |
両建処理では、購入金額10,000円を消耗品費として計上し、ポイント1,000円分を雑収入として処理します。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
| 消耗品費 | 10,000円 | 未払金 | 9,000円 |
| 雑収入 | 1,000円 |
カード利用代金にポイントを充当する場合は、商品購入時には通常どおり全額を未払金として計上し、カード代金の引き落とし時にポイント充当分を雑収入として処理します。
例えば、3,000円の消耗品を法人カードで購入し、後から1,000円分のポイントをカード利用代金に充当した場合は、購入時に3,000円を未払金として計上します。引き落とし時には2,000円を普通預金から支払い、残る1,000円を雑収入として処理します。
| タイミング | 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
| 商品購入時 | 消耗品費 | 3,000円 | 未払金 | 3,000円 |
| 引き落とし時 | 未払金 | 3,000円 | 普通預金 | 2,000円 |
| 雑収入 | 1,000円 |
ポイントを商品購入時の値引きとして使う場合と、カード利用代金へ後から充当する場合では仕訳が異なります。また、ポイント利用前後の金額表示によって消費税の処理も変わる場合があります。レシートや適格請求書上でポイントが値引きとして処理されているかを確認します。
ポイントの金額が大きい場合や、商品券への交換、社長・従業員による個人利用など通常と異なる使い方をする場合は、税理士などの専門家に税務処理を確認してください。
ポイント還元率を重視して法人カードを選ぶポイント
法人カードをポイント還元率で選ぶ場合は、基本還元率だけではなく、年会費や年間利用額、ポイントの交換価値まで含めて確認することが重要です。
例えば、基本還元率が高くても年会費が高ければ、年間の利用額によっては実際に得られる還元額が少なくなります。また、税金や公共料金、広告費、SaaSなどは通常より還元率が下がるカードもあります。
確認するポイントは以下のとおりです。
- 基本還元率と条件付きの最大還元率を分けて確認
- 年会費を差し引いた実質的な還元額
- 税金や公共料金など、利用額の大きい支払いの還元率
- ポイントの交換レートや有効期限
- 年間利用額に応じたボーナスポイントや年会費優遇
特に事業経費の決済額が大きい場合は、基本還元率だけで判断せず、年間の利用額から実際に得られる還元額を計算して比較します。
法人カードごとの基本還元率や年会費、年間利用額別の実質還元率は、下記の記事で詳しく比較しています。
法人カードのポイントに関するよくある質問
法人カードのポイントは会社のものですか?
法人契約のカードで貯まったポイントは、法人側で管理するのが基本です。一方、代表者や個人事業主が個人で契約しているビジネスカードでは、契約者個人にポイントが付与される場合があります。
法人カードという名称だけでは判断できないため、カード会社との契約主体やポイントプログラムの規約を確認してください。
法人カードのポイントを社長が使うと横領になりますか?
横領に該当するかは、ポイントの帰属、社内規程、利用権限、利用方法などによって個別に判断されます。法人契約のカードで会社が管理するポイントを社長が無断で私的利用する運用は避けてください。
会社から役員へ経済的利益を与えたと判断されれば、役員給与として扱われる可能性があります。国税庁も、法人が役員へ与える金銭以外の経済的利益について、実質的に給与と同様の効果をもたらすものは給与に含まれるとしています。
法人カードのポイントを従業員に付与しても問題ありませんか?
会社が管理するポイントを従業員が無断で個人利用することは避けてください。JCBも、法人の場合は従業員による個人的なポイント利用に注意し、社内で利用ルールを設けることを案内しています。
会社が従業員への報奨などとしてポイント相当の利益を付与する場合は、給与として扱われる可能性もあるため、税務上の処理を確認する必要があります。
法人カードのポイントには税金がかかりますか?
ポイントを取得した時点では通常仕訳を行わず、使用時に取引内容に応じて値引処理または雑収入として処理します。
ポイントの使い方や金額によって処理が異なるため、高額なポイントを利用する場合は税理士などへ確認してください。
法人カードのポイントは経費として仕訳しますか?
ポイントそのものを経費として仕訳するのではなく、ポイントを使った取引を会計処理します。 JCBでは、ポイントを獲得・失効した時点では仕訳を行わず、使用時に値引きまたは雑収入として処理すると説明しています。
例えば、10,000円の商品に1,000円分のポイントを使った場合は、9,000円を経費として計上する値引処理か、10,000円を経費、1,000円を雑収入として計上する両建処理があります。
まとめ
法人カードのポイントは、カード利用代金への充当や備品購入、商品券・マイルへの交換などに活用でき、事業経費の削減につながります。効率よく貯めるには、経費の支払いを法人カードに集約し、追加カードやポイント優遇店を活用する方法が有効です。
一方で、法人カードのポイントの帰属は契約形態によって異なります。法人契約のカードで貯まったポイントは法人側で管理し、社長や従業員による個人利用には注意が必要です。また、ポイントを事業で利用した場合は、値引処理や雑収入としての処理など、使い方に応じた会計処理が必要になります。
ポイント還元を重視して法人カードを選ぶ場合は、基本還元率だけでなく、年会費や年間利用額、ポイントの交換価値、有効期限まで確認します。カードごとの還元率や年間利用額別の実質還元率は、法人カードの還元率ランキングで詳しく比較しています。








